Herzog & de Meuron-北京国家体育場
設計者は、スイスの建築家ユニット、ヘルツォーク&ド・ムーロンで、その独特の形状から、愛称は「鳥の巣(鸟巢・Bird's Nest)」である。大きさは330m×220mで高さは69.2m。総工費は35億元。
最大収容予定人数は91,000人で、オリンピック終了後は施設の改修が行われ、座席数は8万人にまで減らされた。
2002年に、中国政府が開催した国際建築設計競技で、ヘルツォーク&ド・ムーロンの案が優勝した。この案の構造設計は、アラップ社が、芸術顧問として中国の現代美術家・艾未未(アイ・ウェイウェイ)がデザインに協力している。
2003年12月24日に鍬入れ式を行い、2004年3月に本格的に着工した。途中、2004年5月に同様の構造のシャルル・ド・ゴール国際空港第2ターミナルビルの屋根崩落事故が起こったこと、及び予算の関係などから再設計が行われたものの、2008年3月に完成した。
ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron、略称HdM)は、スイスのバーゼル出身のジャック・ヘルツォーク(Jacques Herzog、1950年4月19日 - )とピエール・ド・ムーロン(Pierre de Meuron、1950年5月8日 - )の2人による建築家ユニット。この2人は、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH Zurich)で共に建築を学び、卒業後の1978年から共同の建築設計事務所を開いて共に働いている。
2001年にはプリツカー賞を、2007年には世界文化賞建築部門を受賞。
地元バーゼル中心に活動していた1980年代から1990年代まで、彼らの初期の作品はモダニズムの還元主義的作品を思わせる、ミニマル・アートの芸術家ドナルド・ジャッドの彫刻作品のような簡素な造形であった。しかし建物表面を無数の石で覆ったり、金属の表面に切れ目を入れてねじるなど見え方を工夫したり、ガラス面にさまざまな時代の写真や絵画をプリントしたりと、建築の表層の部分での試行を重ねて日々刻々異なる表情を建築や周辺一帯に与え、注目を浴びた。最も大きな脚光を浴びたプロジェクトはロンドンの巨大な発電所建物を美術館に改装するテート・モダン計画で、以降受賞や注文が相次いでいる。
2000年代に入ってからの東京・プラダ青山店やバルセロナ・フォーラム、ミュンヘンのサッカー場アリアンツ・アレナ、そして2008年完成の北京国家体育場(北京オリンピックメインスタジアム)では初期のミニマルな作風から様相が一変している。表層に対するこだわりや物質性の優先は変わっていないが、簡素な箱型の造形から、これまで中に隠れていた建物を支える柱などの構造が複雑化し外部に現れ、表層をプリズムのように一様に覆ってしまうようになった。プラダ青山店では建物表面をガラスが覆い蜜蜂の巣のような内部構造が透けて見え、北京オリンピックスタジアムでは籐を編んだような複雑な柱が建物を一面に覆っているが、表層の印象によって巨大なボリュームによる圧迫感はやわらげられている。
彼らはしばしば戦後ドイツの芸術家、ヨゼフ・ボイスの作品や芸術論から永続的な影響を受けていると述べている。また建築のたびごとに異なった芸術家と共同作業(コラボレーション)を行ってきた。
彼らの成功の秘訣は、普通の材料を用いながら、それらの材料の異質感やそれらの材料から感じたことのない印象を見る者から引き出した腕前によるところが大きい。